11 前房出血 (ぜんぼうしゅっけつ)
1 眼の仕組みと後遺障害について
2 眼瞼=まぶたの外傷
3 外傷性眼瞼下垂
4 動眼神経麻痺
5 ホルネル症候群
6 外転神経麻痺
7 滑車神経麻痺
8 球結膜下出血
9 角膜上皮剥離
10 角膜穿孔外傷
11 前房出血
12 外傷性散瞳
13 涙小管断裂
14 外傷性虹彩炎
15 虹彩離断
16 水晶体亜脱臼
17 水晶体脱臼、無水晶体眼
18 外傷性白内障
19 眼窩底破裂骨折
20 視神経管骨折
21 硝子体出血
22 外傷性網膜剥離
23 網膜振盪症
24 外傷性黄斑円孔
25 眼底出血 網膜出血・脈絡膜出血
26 眼球破裂
27 続発性緑内障
前房出血とは、外傷により角膜裏面と虹彩の根元が傷つき、出血するものです。
角膜と虹彩の間の液体が充満している空間を前房と言いますが、そこに流出した血液が溜まります。
程度によりますが、症状が長引くと視力障害をきたすことがあります。
交通事故では、眼に対する鈍的な打撲で、眼球が陥没し、虹彩や毛様体が傷ついて出血します。
眼球破裂となったときも、虹彩や毛様体が傷ついて前房出血が起こります。
鈍的外傷の直後から、程度の軽いものでは、まぶしさ、重症のものでは視力の低下が認められます。
治療により改善しますが、受傷後2~7日後に再出血を起こすことがあります。
前房出血の症状は、外傷の直後は虹彩から出血した血液が前房全体に散らばり、しばらくすると下部の方へ溜まります。
前房出血がおこると、光が当たると眩しさや痛みを感じます。
出血が少ないときは、見た目では分からないこともありますが、出血が多いときは、前房全体が血液で満たされる状態になります。
眼球破裂、異物の有無をCTや超音波検査で確認、視力・眼圧・細隙灯顕微鏡検査にて眼底検査を行います。
出血の吸収、再出血の予防のため、ベッドを30~45°に傾けて安静加療とします。
虹彩炎の強いときには、散瞳薬(アトロピン点眼薬)の投与、ステロイド薬の点眼、止血薬の内服などが実施され、高眼圧に対しては点眼、内服治療を行います。
高眼圧が続くと、緑内障などの視力障害を引き起こすからです。
大量の前房出血、コントロールできない高眼圧、角膜血染に対しては、前房内を洗浄します。
再出血して血液が吸収されないままの状態が長く続くと、視力低下を残します。
前房出血における後遺障害のポイント
1)再出血をしなければ、予後は良好で、ほとんどの場合、3週間程度で後遺障害を残すことなく治癒するといわれています。
2)視力障害を残したとき
視力は、万国式試視力表で検査します。
等級表で説明する視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力のことです。
矯正視力とは、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ等の装用で得られた視力のことですが、角膜損傷などにより、眼鏡による矯正が不可能で、コンタクトレンズに限り矯正ができるときは、裸眼視力で後遺障害等級が認定されています。
眼の直接の外傷による視力障害は、前眼部・中間透光体・眼底部の検査で立証します。
スリット検査 直像鏡
前眼部と中間透光体の異常は、スリット検査で調べます。
眼底部の異常は、直像鏡で検査します。
視力検査は先ず、オートレフで裸眼の正確な状態を検査します。
例えば、水晶体に外傷性の異常があれば、エラーで表示されるのです。
その後、万国式試視力検査で裸眼視力と矯正視力を計測します。
前眼部・中間透光体・眼底部に器質的損傷が認められるとき、つまり、眼の直接の外傷は、先の検査結果を添付すれば後遺障害診断は完了します。
視力に関すること | |
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1級1号 | 両眼が失明したもの 視力の測定は万国式試視力表によることとされています。失明とは眼球を摘出したもの、明暗を判断できないもの、ようやく明暗を区別できる程度のものを説明しています。 |
2級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.02以下になったもの この場合の視力とは矯正視力のことを説明しています。 平成14年4月からコンタクトレンズによる矯正も認められるようになりました。 |
2級2号 | 両眼の視力が0.02以下になったもの |
3級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.06以下になったもの |
4級1号 | 両眼の視力が0.06以下になったもの |
5級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
6級1号 | 両眼の視力が0.1以下になったもの |
7級1号 | 1眼が失明し、他眼の視力が0.1以下になったもの |
8級1号 | 1眼が失明し、または1眼の視力が0.02以下になったもの |
9級1号 | 両眼の視力が0.6以下になったもの |
9級2号 | 1眼の視力が0.06以下になったもの |
10級1号 | 1眼の視力が0.1以下になったもの |
13級1号 | 1眼の視力が0.6以下になったもの |