9 角膜上皮剥離 (かくまくじょうひはくり)

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角膜とは、眼球の正面に見える黒目を覆う透明な膜です。
虹彩と水晶体を保護し、光学レンズとしての働きもになって います。
角膜の構造は、表面から上皮、実質、内皮に分かれ、角膜上皮は、外気に晒されており、角膜を外界から守るバリアとしての働きと、酸素を取り入れる働きがあります。
角膜実質は、最も厚い層ですが透明であり、光をそのまま通すことができます。
角膜内皮は、眼球内の房水という栄養分に富んだ水を実質部分に供給しています。
角膜は、ゴミなどによる刺激や、微生物による感染を受けることがあり、外傷で角膜の透明性が失われたり、変形すると、視覚に障害を残します。
角膜の外傷では、強い眼の痛みを伴います。

角膜上皮剥離は、皮膚の擦り傷と同じで、黒目に直接、物が当たったり突き刺さるなどして、角膜の上皮が剥がれた状態を指します。
交通事故、特にバイクの運転中に、まぶたを閉じる間もなく電柱などに激突し、装用している眼鏡の破損や、コンタクトレンズによって黒目が傷つくことで発生します。

角膜の上皮は、外力に対して弱く、容易に傷つき、一部が剥がれたりするのです。
角膜上皮が傷つくと、強い痛みや、涙が止まらない、物が見えない、異物感があり、まぶたを開けることができない、眩しさを感じるなどの症状が現れます。

一方で、角膜上皮は再生力が非常に強く、小さな傷であれば2~3時間で治ることもあります。
ビタミンB2の点眼は、この再生力を促進させる働きがあります。
感染症予防の必要から抗生剤の点眼も行われています。

角膜上皮に限定された外傷であれば、後遺障害を残すことなく治癒します。

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