6 外転神経麻痺 (がいてんしんけいまひ)

 

6-1

6-2

外転神経は外側直筋を収縮させ、眼球を外側に向かって水平に動かします。
眼球の運動に関わる神経は、ほかに動眼神経、滑車神経がありますが、正常な視機能を成立させるには、脳の命令にしたがって眼球を的確に動かすことが必要となります。

交通事故による頭部外傷で、外転神経が麻痺すると、眼球は外転ができなくなり、正常よりも内側を向く内斜視となることがあります。
側頭骨々折、眼窩壁骨折などにより、外側直筋を断裂したときも、同じ症状となります。
そうなると、両眼の視線が見たい物の場所で交わらなくなり、複視の症状が現れます。
複視とは、モノが2つにダブって見えることです。

6-3

眼球運動神経には、
①眼を外側=耳側に向ける外転神経
②眼を上や下、内側=鼻側に向ける、まぶたを開ける、
瞳孔の大きさや水晶体の厚さを加減する動眼神経
③眼を下に向ける滑車神経
の3つがあります。
これらの神経に障害が起きると、複視の症状が現れることになります。

外転神経麻痺における後遺障害のポイント

外側直筋のみの障害であり、眼球運動障害としては、後遺障害等級に該当しません。
複視を残すときは、以下の基準に基づいて後遺障害等級が認定されています。

複視に関すること
10級2号 正面視で複視の症状を残すもの
13級2号 正面視以外で複視の症状を残すもの

複視には正面視での複視、左右上下の複視の2種類があります。
検査には、ヘスコオルジメーターを使用し、複像表のパターンで判断します。

6-5

正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障を来すものとして10級2号が認定されることが予想されます。

左右上下の複視は、正面視の複視ほど大きな支障はないものの、軽度の頭痛や眼精疲労は認められます。このときは、13級2号の認定がされることが予想されます。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

前の記事

8 球結膜下出血

次の記事

5 ホルネル症候群