1 眼の仕組みと後遺障害について
2 眼瞼=まぶたの外傷
3 外傷性眼瞼下垂
4 動眼神経麻痺
5 ホルネル症候群
6 外転神経麻痺
7 滑車神経麻痺
8 球結膜下出血
9 角膜上皮剥離
10 角膜穿孔外傷
11 前房出血
12 外傷性散瞳
13 涙小管断裂
14 外傷性虹彩炎
15 虹彩離断
16 水晶体亜脱臼 
17 水晶体脱臼、無水晶体眼
18 外傷性白内障
19 眼窩底破裂骨折
20 視神経管骨折
21 硝子体出血
22 外傷性網膜剥離 
23 網膜振盪症
24 外傷性黄斑円孔
25 眼底出血 網膜出血・脈絡膜出血
26 眼球破裂
27 続発性緑内障 

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正常                  外傷性白内障

白内障と言えば、老人性のイメージですが、交通事故外傷でも白内障は発症します。
バイクや自転車の運転者に多いのですが、交通事故の衝撃を眼に受けたり、なにかが突き刺さることで、水晶体を損傷し、外傷性白内障を発症することがあります。

白内障が進行すると、上図のごとく、黒目の部分=水晶体が白く濁ってきます。
白く濁った部分は、次第に拡がり、昼間は眼も開けられないほど眩しく感じ、物がぼやけ、視力が、どんどん低下していきます。放置しておけば、やがては失明します。

視力、眼圧、細隙灯顕微鏡検査、眼底検査で確定診断され、治療は手術が選択されています。

外傷性白内障における後遺障害のポイント

1)難度の高い手術が成功したときには、通常、後遺障害を残すことはありません。
しかし、交通事故では、不可逆的な損傷をきたすことが多く、理想的な手術であっても、羞明や、視力低下の後遺障害を残すことがあります。

2)羞明を残したとき
外傷によって瞳孔が開いたままとなり、光に対する反応が消失、または減弱したものを外傷性散瞳と呼んでいます。
①瞳孔の対光反射が著しく障害され、著明な羞明を訴え労働に支障を来すものは、単眼で12級相当、両眼で11級相当が認定されることが予想されます。

②瞳孔の対光反射は認められるが、不十分であり、羞名を訴え労働に支障を来すものは、単眼で14級相当、両眼で12級相当が認定されることが予想されます。
いずれも、対光反射検査で立証します。

3)視力低下を残すとき
視力は、万国式試視力表で検査します。
等級表で説明する視力とは、裸眼視力ではなく、矯正視力のことです。
矯正視力とは、眼鏡、コンタクトレンズ、眼内レンズ等の装用で得られた視力のことです。
ただし、角膜損傷等により眼鏡による矯正が不可能で、コンタクトレンズに限り矯正ができるときは、裸眼視力で後遺障害等級が認定されています。

眼の直接の外傷による視力障害は、前眼部・中間透光体・眼底部の検査で立証します。

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スリット検査           直像鏡

前眼部と中間透光体の異常は、スリット検査で調べます。
眼底部の異常は、直像鏡で検査します。

視力検査は先ず、オートレフで裸眼の正確な状態を検査します。

例えば水晶体に外傷性の異常があれば、エラーで表示されるのです。
その後、万国式試視力検査で裸眼視力と矯正視力を計測します。

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オートレフ

前眼部・中間透光体・眼底部に器質的損傷が認められる場合、つまり、眼の直接の外傷は、先の検査結果を添付すれば後遺障害診断は完了します。

4)遅発性の外傷性白内障について
水晶体の損傷部位によっては、すぐに症状が現れず、長期間かけて徐々に進行することがあります。10年以上経過してからの発症も報告されています。

水晶体亜脱臼、水晶体脱臼では、水晶体の損傷を原因として、経年後に外傷性白内障を発症する可能性が十分に予想されるのです。
そのため、示談書には、「本件の示談締結後に、外傷性白内障を発症したる際は、甲乙間で別途、協議を行うものとする。」 といった文言を表記しておく必要があります。