18 膝関節の仕組み
19 膝関節内骨折 𦙾骨顆部骨折 (けいこつかぶこっせつ)
20 𦙾骨と腓骨の働き 腓骨は役目を果たしているのか
21 𦙾骨顆間隆起骨折 (けいこつかかんりゅうきこっせつ)
22 膝蓋骨骨折(しつがいこつこっせつ)
23 膝蓋骨脱臼 (しつがいこつだっきゅう)
24 膝蓋骨骨軟骨骨折(しつがいこつこつなんこつこっせつ)・スリーブ骨折
25 膝離断性骨軟骨炎 (しつりだんせいこつなんこつえん)
26 膝蓋前滑液包炎 (しつがいぜんかつえきほうえん)
27 膝窩動脈損傷 (しつかどうみゃくそんしょう)
28 腓骨骨折 (ひこつこっせつ)
29 𦙾・腓骨骨幹部開放性骨折 (けい・ひこつこつかんぶかいほうせいこっせつ)
30 下腿のコンパートメント症候群
31 変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
32 腓腹筋断裂(ひふくきんだんれつ)、肉離れ
33 肉離れ、筋違いと捻挫、腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷(ちょうようきんざしょう)
34 半月板損傷 (はんげつばんそんしょう)

 

鼠蹊部から膝上部まで走行する大腿動脈は、膝窩を通るところで膝窩動脈と名を変えます。

※膝窩とは、膝の後ろのくぼんだ部分、○印です。

膝窩動脈損傷は、圧倒的にバイクVS自動車の衝突で発生しています。

大腿骨果部骨折、膝関節脱臼、𦙾骨・腓骨開放骨折、これらの傷病名に合併することが多く、血行再建が遅れると、膝上切断となる重症例です。

特に、膝関節脱臼に伴う膝窩動脈損傷の発生率は、20~40%と報告されています。

 

交通外傷による膝窩動脈損傷では、骨折や関節・筋損傷などの複雑な病態を合併することが多く、血行再建や観血的整復術は、専門医が担当すべき領域と言われています。

 

交通外傷による膝窩動脈損傷では、虚血症状が遅発性に発症することが多く、まず、可及的速やかに膝窩動脈損傷を診断し、整復術に先行して血行再建術を行うことが重要とされています。

 

膝窩動脈損傷における後遺障害のポイント

 

1)血管損傷の症状は、5つのPに代表されます。

①PUFFINESS=著明な腫れ

②PAIN=疼痛

③PULSELESSNESS=動脈拍動の減少ないし消失

④PALLOR=下腿の蒼白、冷感

⑤PARALYSIS=知覚異常

 

上記の5つ以外にも、斑状出血が認められることがあります。

 

※斑状出血とは、破れた血管から漏れた血液が、皮膚組織や粘膜に入り込んでできる小さなアザのことで、直径3mm未満を点状出血、直径2cmまでを斑状出血、さらに大きなものは、広汎性皮下出血と呼んでいます。

 

通常の診断は、まず足背部で動脈の拍動を触れることで、確定診断は、血管造影となり、血管損傷があれば、緊急手術で血管再建術が実施されます。

 

ところが、膝窩動脈損傷は見逃されることが往々にしてあり、その原因として、

①典型的な5つのPが認められない動脈損傷が多いこと

②初診で、足背動脈が僅かながら触知でき、経過観察となったものなど

臨床症状の不確実さが指摘されています。

つまり、迅速に確定診断をするための手段がないのが現状なのです。

さらに、確定診断として血管造影が汎用されていますが、血管造影には、1~2時間の多大な時間を要するのです。

 

2)一方、筋肉の阻血許容時間は、6時間とされています。

この6時間は、血行再建までのゴールデンタイムと呼ばれています。

先の例でも、観血的整復術後に24時間、2日間、4日間を経過したものは、いずれも膝上切断となっています。血行再建術は、経過時間との闘いです。

 

3)一下肢を膝関節以上で失ったものは、4級5号が認定されます。