21 𦙾骨顆間隆起骨折 (けいこつかかんりゅうきこっせつ)

18 膝関節の仕組み
19 膝関節内骨折 𦙾骨顆部骨折 (けいこつかぶこっせつ)
20 𦙾骨と腓骨の働き 腓骨は役目を果たしているのか
21 𦙾骨顆間隆起骨折 (けいこつかかんりゅうきこっせつ)
22 膝蓋骨骨折(しつがいこつこっせつ)
23 膝蓋骨脱臼 (しつがいこつだっきゅう)
24 膝蓋骨骨軟骨骨折(しつがいこつこつなんこつこっせつ)・スリーブ骨折
25 膝離断性骨軟骨炎 (しつりだんせいこつなんこつえん)
26 膝蓋前滑液包炎 (しつがいぜんかつえきほうえん)
27 膝窩動脈損傷 (しつかどうみゃくそんしょう)
28 腓骨骨折 (ひこつこっせつ)
29 𦙾・腓骨骨幹部開放性骨折 (けい・ひこつこつかんぶかいほうせいこっせつ)
30 下腿のコンパートメント症候群
31 変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
32 腓腹筋断裂(ひふくきんだんれつ)、肉離れ
33 肉離れ、筋違いと捻挫、腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷(ちょうようきんざしょう)
34 半月板損傷 (はんげつばんそんしょう)

 

            右膝関節の正面骨格図           𦙾骨近位端の後方図

8~12歳の小児に好発、成人でも発生している前十字靭帯付着部の剥離、裂離骨折です。

前十字靱帯損傷と同じですが、交通事故では、自転車やバイクの転倒、田んぼや崖下への転落で発生しています。

 

𦙾骨(=脛骨)の上部で剥離しているのは、前十字靭帯であって、大腿骨ではありません。

𦙾骨顆間隆起骨折は𦙾骨の前十字靱帯付着部の裂離骨折であり、骨折は前十字靱帯の牽引力によって生じるもので、損傷のレベルでは、Meyersの分類が最も広く用いられています。

                  1            2            3             3+

                

1型 骨片が母床からほとんど離れていないもの

2型 骨片の前1/3~1/2が浮き上がっているが後方では母床との連続性が保たれているもの

3型 骨片全体が母床から完全に遊離しているもの

3+型 骨片が後方に反転転位しているもの

骨片の転位の程度により4タイプに分類され、治療法の選択がなされています。

1、2型に対しては保存療法を、2型のうち、骨片の存在により完全伸展が不能な例、前方動揺性が強い例と3型については、手術の適応となります。

 

症状は、膝関節の捻挫で、打撲後に、急激に膝関節が腫れて強い痛みを訴え、膝を伸展することができなくなります。診断では、XP検査と注射器による関節液の吸引が行われます。

転位がない軽微な場合は、XPで判断できませんが、膝関節内で骨折や靱帯損傷がある場合は、吸引した関節液に血液が混入します。

骨折の有無を評価するのにはCT、MRIが有用です。

 

治療は、整形外科にて整復と固定が行われます。

顆間隆起が完全に剥離して、骨片の固定が不可能なときは、手術による整復固定が行われますが、そうでない場合は、保存的に徒手整復後、膝関節を20°屈曲位に固定します。

保存的療法では、平均すれば、4~5週の固定期間です。

予後は良好で、後遺障害を残すことは、ほとんどありません。

 

しかし、発見が遅れたものや、発見後、放置されて陳旧化したものは、膝の可動域制限や関節の安定性を失い動揺関節を生じます。

 

𦙾骨顆間隆起骨折における後遺障害のポイント

Lachmanテスト

膝を15~20°屈曲させ、前方に引き出します。

前十字靱帯損傷では、脛骨が異常に引き出されます。

動揺性が認められるときは、ストレスXP検査で左右差を立証します。

5~8mmで12級7号、8~10mmで10級11号、

大多数は、12級7号が認定されているようです。

テロスSE使用によるストレスXP撮影

「Lachmanテストにより7mmの動揺性を認める」

後遺障害診断書に記載されても、それだけでは立証したことにはなりません。

必ず、テロスSE使用によるストレスXP撮影を受け、画像分析ソフト、ONISにより左右差で7mmの動揺性が認められなければなりません。

なお、動揺性が10mmを超えていれば、前十字靱帯は断裂していると診断されます。

 

当然ながら、3DCT、MRIで𦙾骨顆間隆起骨折後の骨癒合レベルの立証も忘れてはなりません。

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