18 膝関節の仕組み
19 膝関節内骨折 𦙾骨顆部骨折 (けいこつかぶこっせつ)
20 𦙾骨と腓骨の働き 腓骨は役目を果たしているのか
21 𦙾骨顆間隆起骨折 (けいこつかかんりゅうきこっせつ)
22 膝蓋骨骨折(しつがいこつこっせつ)
23 膝蓋骨脱臼 (しつがいこつだっきゅう)
24 膝蓋骨骨軟骨骨折(しつがいこつこつなんこつこっせつ)・スリーブ骨折
25 膝離断性骨軟骨炎 (しつりだんせいこつなんこつえん)
26 膝蓋前滑液包炎 (しつがいぜんかつえきほうえん)
27 膝窩動脈損傷 (しつかどうみゃくそんしょう)
28 腓骨骨折 (ひこつこっせつ)
29 𦙾・腓骨骨幹部開放性骨折 (けい・ひこつこつかんぶかいほうせいこっせつ)
30 下腿のコンパートメント症候群
31 変形性膝関節症(へんけいせいしつかんせつしょう)
32 腓腹筋断裂(ひふくきんだんれつ)、肉離れ
33 肉離れ、筋違いと捻挫、腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷(ちょうようきんざしょう)
34 半月板損傷 (はんげつばんそんしょう)

 

診断書には、𦙾骨顆部骨折、𦙾骨近位端骨折、𦙾骨高原骨折、プラトー骨折と記載されています。

𦙾骨の上端部の外側部を外顆、内側部を内顆と呼んでいます。

𦙾骨顆部骨折は、外顆に多く、陥没骨折の形態となるのが特徴です。

 

𦙾骨顆部骨折は、膝に衝撃が加わった際に多く発症します。

膝に対する衝撃なので、𦙾骨顆部骨折は単独で起こることは少なく、通常は、膝の靭帯損傷や脱臼、膝蓋骨骨折などを伴います。

 

イラストでは、骨の上端部がわずかに骨折したイメージですが、軟骨損傷を伴い重傷です。

上肢・下肢とも、関節部の骨折は関節の運動制限や骨癒合の不良を伴い、難治性です。

 

症状は、受傷直後から、激痛、腫脹、膝の変形、痛みによる運動制限などが出現し、ほとんどの場合歩くことができません。

診断は、単純XP撮影が中心ですが、軟骨損傷、靱帯損傷、半月板損傷などを想定するのであれば、MRIや関節鏡検査が有用です。

 

𦙾骨顆部は海綿状の骨であるところから、骨欠損部には骨移植を必要とし、強固な内固定が得られにくいのが特徴です。

転位のないものは、保存的にギプス固定となりますが、多くは手術となります。

 

陥没骨折では、膝部外顆関節面の軟骨損傷を伴うことから、後遺障害を遺残し、5~10年の経過で、深刻な変形性関節症になることも予想されます。

 

①②③は、外顆部の骨折と陥没骨折です。

④⑤⑥では、外顆、内顆、全体の骨折で、陥没変形をきたしています。

②④では腓骨の骨折を伴うこともあります。

 

②陥没骨折に加えて骨折片転位が認められるときは、関節面を戻すとともに骨折片をスクリューまたはプレートで整復固定がなされています。

このタイプは関節面の壊れ方がひどくなるため、後遺障害を残しやすく、正確な整復が必要です。

③陥没骨折では、陥没部の真下側に穴をあけ、関節面を整復し、できた空洞に自分の腸骨や人工骨を埋め、スクリューで固定します。

 

④⑤⑥内顆骨折では、僅かな転位でも内反変形(O脚変形)となることが予想され、放置すると、将来、変形性関節症になりやすいので、手術により、しっかりと固定しなければなりません。

 

関節面に段差のあるときは、骨移植、内固定をしっかり行うことは当然なのですが、関節鏡を使用して合併する靭帯損傷を修復し、半月板損傷は可能であれば縫合、不可能であれば切除し、関節面の整復を正確に実施する必要があります。

不完全な治療が行われたときは、被害者の方は近い将来、外傷性膝関節症に悩まされることになります。

 

関節面の段差が8~10mmでは、一般に保存的治療が選択されていますが、専門医であれば、5mm前後から関節鏡を使用して、軟骨損傷、靱帯損傷、半月板損傷などを検証、それらを正確に診断し治療を適切に行っています。

 

この骨折の治療期間は全荷重が許可されるまで8~12週間を要しています。

術後は、膝の可動域制限を防止する観点から、CPM=持続的他動運動器が使用されます。

膝関節内骨折 𦙾骨顆部骨折における後遺障害のポイント

1)後遺障害の対象は、膝関節の可動域制限と疼痛です。

𦙾骨顆部骨折は、機能障害で、12級7号が認定さると想定されます。

3DCTで骨癒合状況を、MRIで軟骨損傷のレベルを立証しなければなりません。

 

2)膝関節の疼痛では、患側と健側の膝関節部について、XP正面像の撮影を受けます。

2つを比較して、患側の関節裂隙狭小化を立証します。

さらに、MRI、3DCTで軟骨下の骨硬化や関節面の不整などを立証することができれば、局部の頑固な神経症状として12級13号が認定されます。

 

3)骨移植による腸骨の変形は、体幹骨の変形として12級5号ですが、裸体で変形が確認できることが認定の要件です。𦙾骨顆部の陥没骨折であれば、骨採取も少なく、腸骨後方からの骨採取により変形が目立つこともなく、要件を満たさないことが大半です。

人工骨を用いた骨移植は後遺障害として考慮されません。

 

4)不完全な治療が行われた結果、2分の1以下の可動域制限と膝部の疼痛を残しているときは、XP、画像診断クリニックで3DCT、MRI撮影を受け、変形性骨癒合、軟骨損傷、関節面の不整、軟骨下の骨硬化を丁寧に立証すれば、10級11号が認定されます。