61 足根骨の骨折 距骨骨折 (きょこつこっせつ)

61 足根骨の骨折 距骨骨折 (きょこつこっせつ)
62 足根骨の骨折 右踵骨不顕性骨折(みぎしょうこつふけんせいこっせつ)
63 足根骨の骨折 踵骨骨折 (しょうこつこっせつ)
64 足根骨の骨折 距骨骨軟骨損傷 (きょこつこつなんこつそんしょう)
65 足根骨の骨折 足根管症候群 (そっこんかんしょうこうぐん)
66 足根骨の骨折 足底腱膜断裂(そくていけんまくだんれつ)
67 足根骨の骨折 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
68 モートン病、MORTON病
69 足根洞症候群 (そっこんどうしょうこうぐん)
70 足根骨の構造
71 足根骨の骨折 ショパール関節脱臼骨折
72 足根骨の骨折 リスフラン関節脱臼骨折
73 足根骨の骨折 リスフラン靱帯損傷
74 足根骨の骨折 第1楔状骨骨折 (けつじょうこつこっせつ)
75 足根骨の骨折 舟状骨骨折 (しゅうじょうこつこっせつ)
76 足根骨の骨折 有痛性外𦙾骨 (ゆうつうせいがいけいこつ)
77 足根骨の骨折 舟状骨裂離骨折 (しゅうじょうこつれつりこっせつ)
78 足根骨の骨折 立方骨圧迫骨折(りっぽうこつあっぱくこっせつ)=くるみ割り骨折
79 足根骨の骨折 二分靱帯損傷 (にぶんじんたいそんしょう)
80 足根骨の骨折 踵骨前方突起骨折 (しょうこつぜんぽうとっきこっせつ)

 

距骨(きょこつ)は、踵骨の上方にあり、𦙾骨、腓骨と連結して足関節を形成しています。

距骨表面の80%は関節軟骨で覆われ、筋肉が付着していないこともあって、血流が乏しいのを特徴としています。

骨折では、血行障害となり、壊死・偽関節・関節症変化による機能障害を残すことが多くあります。

 

交通事故では、自転車同士やバイクと自動車の衝突で、転倒時に、背屈を強制され、𦙾骨や腓骨に挟まって骨折することがほとんどです。

上図の①②であれば、壊死も考えにくいので、底屈位で整復後、10週間のギプス固定で改善に向かいます。

しかし、③④は距骨下関節の脱臼を伴っており、重傷です。

③は壊死の可能性が考えられ、④になると、壊死は決定的です。

いずれも整復固定術により強力に内固定を行い、術後、ギプス固定を経て、PTB装具利用となります。

 

受傷後6週間を経過すればMRIや骨シンチグラフィー検査で壊死の診断が可能です。

Hawkins兆候=軟骨下骨萎縮が認められれば、血液循環が保たれていると考えられます。

徐々に部分荷重を開始し、骨萎縮像が消失したら全荷重とします。

骨萎縮像を認めないときは、PTB装具で厳重な免荷と自動運動を実施し、骨萎縮像の出現を待ちます。

 

平均的には、次の経過をたどります。

①2、3ヶ月でHawkins兆候の陽性=距骨滑車下の骨萎縮、

②4、5ヶ月で距骨の硬化像、PWB=部分荷重によるリハビリが開始されます。

③6ヶ月以降、骨梁の修復、FWB=全荷重によるリハビリが開始されます。

 

※NWB=免荷、PWB=部分荷重、FWB=全荷重

下腿骨の骨折などで使用される装具であるPTB装具により、膝蓋骨で体重を支持しますので、足はNWB、宙に浮いている状態です。

両方が同じ高さでないと歩行ができないので、健足にも補高が付けられます。

ナカシマメディカル

最近では、上記の人工距骨も臨床で使われ始めているとのことです。

 

距骨骨折における後遺障害のポイント

 

1)症状固定時期

距骨の骨折では、足関節の可動域制限による10級11号が後遺障害の対象です。

ところが、手術後、理想的な経過をたどっても、FWBまでに6ヶ月、その後のリハビリを含めると症状固定までに、8ヶ月~1年以上が予想されます。

FWB=全荷重まで待ち、この間、足関節の可動域を計測し続けます。

 

2)人工距骨に置換したときは、10級11号が認定されると予想されます。

 

3)無腐性壊死となり、足関節固定術が実施されたときは、8級7号が認定されます。

 

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