5 股関節の仕組み
6 股関節後方脱臼・骨折 (こかんせつこうほうだっきゅう・こっせつ)
7 股関節中心性脱臼 (こかんせつちゅうしんせいだっきゅう)
8 外傷性骨化性筋炎 (がいしょうせいこっかせいきんえん)
9 変形性股関節症 (へんけいせいこかんせつしょう)
10 ステム周囲骨折
11 股関節唇損傷 (こかんせつしんそんしょう)
12 腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷 (ちょうようきんざしょう)

交通事故では、自転車、バイクからの転倒による打撲を原因としています。

 

腸腰筋は、腰椎と大腿骨を結ぶ筋肉群、大腰筋と腸骨筋の2つの筋肉で構成されています。

内臓と脊椎の間に存在し、主として、股関節を屈曲させる働きをしていますが、同時に、腰椎のS字型を維持する機能も併せ持っています。

 

腰椎椎体骨と大腿骨の間に腸腰筋と呼ばれる大きな筋肉があります。

腸腰筋挫傷による出血は、股関節〜下腹部の痛み、足を伸ばせないなどの症状が出現します。

右の腸腰筋出血では、右下腹部痛により、急性虫垂炎と間違えられることがあります。

出血付近の神経を圧迫し、下肢に神経障害、知覚麻痺や痺れの症状をきたすこともあります。

大きな筋肉であることから、大量出血が認められることもあります。

 

出血性ショックに陥れば、血圧低下、貧血が発生します。

XP、CT検査により、腸腰筋内の高濃度吸収域=出血、低濃度吸収域=血腫を確認することができるので、比較的には、容易に診断されます。

 

治療は、保存的に、再出血防止の為にベッド上安静が指示されています。

 

腰腸筋挫傷における後遺障害のポイント

 

1)肉離れ、筋違いで後遺障害を残すことは、通常は考えられません。

ところが、腰腸筋挫傷では、12級13号、12級7号が認定され得ます。

 

2)被害者の方も、打撲による肉離れ、骨折がなければ、一安心で、落ち着きます。

 

筋肉に対する打撲の程度が大きいと、深く広範囲に内出血が発生します。

内出血が発生した筋肉内では、組織の修復活動、つまり細胞の増殖が行なわれるのですが、この修復活動が過剰に進むと、筋肉が固くなり、筋肉同士が癒着することがあります。

その結果、筋肉が伸びにくくなったり、収縮機能が落ちたり、関節の動きに制限が生じるのです。

 

筋肉の出血は、筋肉を覆っている筋膜と筋肉の間、あるいは筋肉の中で発生しています。

出血後の血腫は、筋肉を圧迫し、運動痛や、出血量が多ければ腫れてきます。

筋肉内出血では、筋肉自体はもちろんのこと、筋肉の周囲の神経や血管を圧迫することが予想され、筋肉自体の圧迫では、筋肉に引きつりが生じ、筋肉の長さが変わることにより、関節自体に外傷がなくても関節の可動域に制限が生じます。

 

神経圧迫では、その神経に麻痺が生じ、血管圧迫では、手足の先の血行障害を起こします。

これらが、長時間継続することで、後遺症を残すのです。

臀部、大腿部、肩の筋肉は、大きな筋肉であり、出血の量も問題となります。

出血性ショックに陥れば、血圧低下、貧血が発生します。