5 股関節の仕組み
6 股関節後方脱臼・骨折 (こかんせつこうほうだっきゅう・こっせつ)
7 股関節中心性脱臼 (こかんせつちゅうしんせいだっきゅう)
8 外傷性骨化性筋炎 (がいしょうせいこっかせいきんえん)
9 変形性股関節症 (へんけいせいこかんせつしょう)
10 ステム周囲骨折
11 股関節唇損傷 (こかんせつしんそんしょう)
12 腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷 (ちょうようきんざしょう)

 

本来、骨組織が存在しない部位に発生する骨化と定義されています。

異所性骨化症と診断されることもありますが、骨化性筋炎と同じ傷病名です。

筋肉、腱、靭帯、臓器、関節包などの軟部組織に、石灰が沈着して異所的骨形成が起こるのです。

 

外傷性骨化性筋炎は、筋肉の炎症に引き続き、カルシウムが沈着し、石灰化現象が起こって筋組織の中に骨が形成されることを意味しているのです。

 

血液検査による血中ALPの数値、XP画像、骨シンチグラム検査で確定診断が容易です。

 

骨化筋炎、異所性骨化症は、以下の経過をたどって進行していきます。

①受傷、筋組織の損傷と血腫の形成、

⇒②血腫の吸収と同時に石灰化が生じる

⇒③約2週間で石灰化部分が拡がる

⇒④3、4週間を経過すると、石灰化した部分が明瞭となり、骨化がXPで鮮明となる

⇒⑤約4、5ヶ月、患部を愛護的に動かしていれば、骨化した部分が徐々に小さくなっていく

受傷直後は、RICE処置が重要であり、これにより、血腫の拡大を防ぐことができます。

患部の修復が始まる2~3週間位は、固定し、患部への刺激は極力避けてください。

血腫が徐々に減り、石灰化した部位がXPで確認できる段階となれば、固定を外します。

固定を外しても、無理やり動かすリハビリを実施するのは逆効果です。

痛みを伴わない角度の範囲内でストレッチや関節運動を開始します。

これで、骨化した部分は徐々に消失し、それに伴って、可動域も回復します。

 

外傷性骨化性筋炎は、打撲に対する不適切な対処がもたらす長期的な合併症なのです。

 

外傷性骨化性筋炎における後遺障害のポイント

 

1)血液検査による血中ALPの数値、XP画像、骨シンチグラム検査で確定診断が容易であり、これに対する治療法も確立されています。

 

大きな血腫では、血栓溶解剤を血腫内に注射し、固まった血腫を溶かして吸い出す治療も実施されており、この方法であれば、3週間前後で治癒すると報告されています。

 

大きな血腫ではなく、筋肉内に広範囲に拡がる点状出血では、上記の治療はできず、自然治癒を待つしかありません。

やや、時間がかかることもありますが、いずれも、後遺障害を残すことなく、改善が得られています。

 

2)ところが、私が経験した外傷性骨化筋炎は、もっと深刻なものです。

頭部外傷、遷延意識障害、左股関節後方脱臼骨折で入院中の被害者の方、23歳男性ですが、受傷から3ヶ月を経過した段階で、左股関節部に、上記の外傷性骨化筋炎が認められました。

入院治療先は、頭部外傷、遷延意識障害の治療に集中しており、左股関節後方脱臼骨折は、放置されたままでした。

 

その後、意識は回復したのですが、左股関節と左膝の関節は、完全強直状態でした。

主治医に確認したところ、頭部外傷、脊髄損傷では、11~22%で異所性骨化が発症すると報告されており、頭部外傷後の長期昏睡期間や多発骨折による長期間の関節運動停止が誘因ではないかと言われているが、原因の究明には至っていないとのことでした。

異所性骨化の発生部位は股関節、肘関節、肩関節に多いと報告されています。

 

 

3)被害者側が、任意保険の人身傷害保険に加入していれば、損害のリカバリーはできる?

 

加害者が任意保険に加入していない無保険車事故であっても、被害者の方が自動車を保有しており、任意保険に加入していれば、人身傷害保険、無保険車傷害保険に請求することができます。

このときの被害者の方が、実家を離れて自活をしていても、独身であれば、別居の未婚の子として、実家の人身傷害保険、無保険車傷害保険に請求することができます。