5 股関節の仕組み
6 股関節後方脱臼・骨折 (こかんせつこうほうだっきゅう・こっせつ)
7 股関節中心性脱臼 (こかんせつちゅうしんせいだっきゅう)
8 外傷性骨化性筋炎 (がいしょうせいこっかせいきんえん)
9 変形性股関節症 (へんけいせいこかんせつしょう)
10 ステム周囲骨折
11 股関節唇損傷 (こかんせつしんそんしょう)
12 腸腰筋の出血、腸腰筋挫傷 (ちょうようきんざしょう)

関節唇は、肩と股関節にだけに存在するもので、環状の線維軟骨組織で形成されており、関節の安定性を高める、滑り止めの役割を果たしています。

股関節唇は、股関節内の大腿骨頭が、外に外れるのを防ぐ土手のような役割をしているのです。

 

交通事故では、歩行者、自転車、バイクなど、転倒時に、股関節が大きく広げられることにより、関節唇に亀裂が発生しています。

 

股関節唇損傷がそのまま放置されると、亀裂が大きくなるばかりでなく、裂けた軟骨が関節の中に入り込んでスムーズな動きを妨げるようになり、さらには、入り込んだ軟骨が股関節表面を傷つけ、症状は深刻化していき、やがては、手術が必要となります。

 

股関節唇損傷では、脚を動かす動作で疼痛が走り、引っかかるような症状を訴えます。

あぐらをかく、股関節を外側に開く運動=外旋、内側へ倒すような運動=内旋するときに疼痛が生じ、日常的には、靴下を履く、爪を切るなどの股関節を深く曲げるような動作で疼痛が発生します。

 

症状が軽いときは、関節を深く曲げるような無理な動作を避け、鎮痛消炎剤の内服で炎症を抑え、症状が和らぐのを待ちます。

重症では、関節鏡手術などの対象となります。

股関節の外側に小さい穴を数ヶ所開け、内視鏡によって、損傷部を切除、あるいは縫合する股関節鏡による手術です。

股関節唇損傷における後遺障害のポイント

1)軽度な股関節唇損傷では、保存的な治療が選択されますが、股関節の運動制限や鎮痛消炎剤が処方され、丁寧なリハビリが行われます。

「その内に、治るだろう」と 放置することは、保存療法とはいいません。

受傷から1ヶ月を経過しても、股関節部に運動痛があるときは、専門医を受診しなければなりません。

 

2)選択すべき治療先は、内視鏡術を得意としているところです。人工関節は、最終的な選択であり、関節鏡術は、それに至るまでの積極的な手術となります。

 

3)股関節唇損傷は、MRIで立証します。

股関節の可動域制限が認められれば、12級7号が認定されます。

 

4)股関節の可動域が4分の3以上で、機能障害に該当しないときでも、疼痛の神経症状で12級13号が認定されています。

5)放置した結果、股関節唇の裂けた軟骨が関節の中に入り込み、軟骨が股関節表面を傷つけているとき、変形性股関節症と診断されたときは、関節鏡術ではなく、人工関節置換術の対象となります。

このときは、手術を先行し、その後に症状固定とします。

人工関節の置換により、10級11号が認定されます。