63 足根骨の骨折 踵骨骨折 (しょうこつこっせつ)
61 足根骨の骨折 距骨骨折 (きょこつこっせつ)
62 足根骨の骨折 右踵骨不顕性骨折(みぎしょうこつふけんせいこっせつ)
63 足根骨の骨折 踵骨骨折 (しょうこつこっせつ)
64 足根骨の骨折 距骨骨軟骨損傷 (きょこつこつなんこつそんしょう)
65 足根骨の骨折 足根管症候群 (そっこんかんしょうこうぐん)
66 足根骨の骨折 足底腱膜断裂(そくていけんまくだんれつ)
67 足根骨の骨折 足底腱膜炎(そくていけんまくえん)
68 モートン病、MORTON病
69 足根洞症候群 (そっこんどうしょうこうぐん)
70 足根骨の構造
71 足根骨の骨折 ショパール関節脱臼骨折
72 足根骨の骨折 リスフラン関節脱臼骨折
73 足根骨の骨折 リスフラン靱帯損傷
74 足根骨の骨折 第1楔状骨骨折 (けつじょうこつこっせつ)
75 足根骨の骨折 舟状骨骨折 (しゅうじょうこつこっせつ)
76 足根骨の骨折 有痛性外𦙾骨 (ゆうつうせいがいけいこつ)
77 足根骨の骨折 舟状骨裂離骨折 (しゅうじょうこつれつりこっせつ)
78 足根骨の骨折 立方骨圧迫骨折(りっぽうこつあっぱくこっせつ)=くるみ割り骨折
79 足根骨の骨折 二分靱帯損傷 (にぶんじんたいそんしょう)
80 足根骨の骨折 踵骨前方突起骨折 (しょうこつぜんぽうとっきこっせつ)
踵骨骨折は、大きく分類すると、以下の2つです。
①捻挫や反復動作の外力と靱帯の張力が作用して発症するもの、
②高所からの転落などで、踵を強く突いたときの外力により発症するもの、
①は踵骨前方突起骨折の項目で説明しています。
ここでは、②転落などによる衝突・圧迫型の骨折を解説します。
踵骨(しょうこつ)とは、かかとの骨で、直接、地面に接して体重を支えています。
足根骨の中で最も大きく、不整な四角形であり、かかとの突出は、この骨の隆起によるものです。
前項でも説明したように、踵骨は硬い皮質骨の殻のなかに、スポンジのような軟らかい骨、海綿骨が詰まっています。
例えれば、和菓子のモナカの構造によく似ているのです。
高所からの転落で、モナカを踏み潰したように骨折し、踵骨上面の関節面が落ち込むのです。
結果、踵骨の上に位置する距骨との関節が転位し、踵が幅広く、高さが低く変形するのです。
骨折は、主にかかとの後面からの衝撃で発症する陥没型骨折と、かかとの下面からの衝撃で発症する舌状型骨折があります。舌状型骨折は、距骨の突起部が舌のように見えることから、このように呼ばれています。
骨折線は関節面におよぶことが多く、転位を残したままでは重度の機能障害を生じます。
踵骨全体像もケーキを押しつぶしたようにペシャンコになり、疼痛や扁平足などにより重篤な歩行障害を残すことが多く、治療が長期化し、非常に厄介な骨折です。
下方に向かって骨折するもの、踵骨後方へ向かって水平に骨折するものがあります。
転位のないもの、転位が小さく徒手整復が可能なものは、4~6週のギプス固定となります。
一方、転位があって、徒手整復が困難なときは、手術による整復と固定が実施されています。
転位とは、距踵関節部でずれることです。
この骨折の形状では、手術による整復と固定が実施されています。
骨癒合を完了しても、痛みや腫れが改善しないことが多く、骨癒合後のケアに苦労します。
疼痛や腫脹が消失するまで2~3年を要する症例も非常に多く見られます。
また、粉砕骨折や後距踵関節に骨折線がおよんでいる症例では、確実に後遺障害を遺残します。
外傷後関節症などで変形を生ずると強い疼痛や歩行障害が残存します。
こんなときは、関節固定術の手術が選択されています。
踵骨骨折における後遺障害のポイント
1)踵骨骨折では、骨折部の疼痛が後遺障害の対象となります。
症状としては、歩行時の痛み、坂道や凸凹道の歩行や長時間の立位が困難なこと、高所での作業が不可能であることが代表的です。
この状態が2年以上続くこともあり、症状固定の決断は悩ましいところです。
骨癒合が完了した時点で、症状固定とすれば、
XP、CTで骨折後の骨癒合状況できれば、なんとか、12級13号の認定がされる可能性があります。
他にも、
①ベーラー角度の減少による外傷性偏平足があるかどうか
ベーラー角は、20~40°が正常ですが、健側と比較して問題提起をしています。
ONISのソフトで、たちどころに計測できます。
②距踵関節面に、僅かでも変形が認められるかどうか
③MRIで、内外果の周囲の腱や靱帯、軟部組織に瘢痕性癒着が認められるかどうか
これらのチェックも怠ってはなりません。
2)踵骨の骨折部にズディック骨萎縮が認められ、灼熱痛を訴え、車椅子状態で、就労復帰の見通しが、全く立たないことがあります。
これは単なる疼痛ではなく、複合性局所疼痛症候群、CRPSタイプⅡカウザルギーです。
カウザルギーを丹念に立証して、後遺障害等級の認定を受けなければなりません。
3)踵骨の粉砕骨折、後距踵関節に骨折線がおよんでいる重症例では、歩行時の疼痛にとどまらず、足関節に大きな可動域制限を残します。
普通は、足関節の背屈と底屈の計測で立証は終了しますが、
計測は、内返し、外返し、回内、回外まで行うことが必要です。
さらに、CTの3D撮影で、べーラー角の計測で縦アーチの崩壊、距踵関節面の変形、MRIで、内外果の周囲の腱や靱帯、軟部組織の瘢痕性癒着を緻密に立証し、上位等級に結びつけます。
歩行時に足底板の装用を必要としているかも、等級獲得ではキーポイントです。