48 足関節の構造と仕組み
49 右腓骨遠位端線損傷 (ひこつえんいたんせんそんしょう)
50 右足関節果部骨折 (そくかんせつかぶこっせつ)
51 足関節コットン骨折(三果部骨折)
52 アキレス腱断裂
53 アキレス腱滑液包炎 (あきれすけんかつえきほうえん)
54 足関節不安定症 (そくかんせつふあんていしょう)
55 足関節に伴う靱帯損傷のまとめ
56 足関節離断性骨軟骨炎 (あしかんせつりだんせいこつなんこつえん)
57 右腓骨筋腱周囲炎 (みぎひこつきんけんしゅういえん)
58 変形性足関節症 (へんけいせいそくかんせつしょう)
59 足の構造と仕組み
60 足根骨の骨折 外傷性内反足 (がいしょうせいないはんそく)

オレンジ色 正常な滑液包

オレンジ色 腫れた滑液包

 

①滑液包は、アキレス腱とかかとの骨の間に1つのみ存在しているもので、この滑液包が炎症を起こすと腫れて痛み、アキレス腱前滑液包炎を発症します。

②アキレス腱に対する強い圧迫が続くと、アキレス腱と皮膚の間に防護的に滑液包が形成されることがあり、この滑液包も炎症すると腫れて痛み、アキレス腱後滑液包炎を発症します。

アキレス腱と皮膚、踵骨の間には、液体で満たされた袋状の、滑液包があり、クッション材として摩擦防止の役目を果たしていますが、この滑液包が炎症を起こすことがあります。

この症例は、若い女性に多く、ハイヒールなど、かかとの後ろを支える部分が硬い靴で歩いていると、かかと後方の軟部組織が繰り返し圧迫され、アキレス腱に過度の負荷がかかることにより炎症するものと考えられています。

交通事故では、かかと部に対する直接的な打撲で発症しています。
外傷では、直後から症状が出現するのですが、外傷でないときは、症状は徐々に進行していきます。

症状は、腫れで赤くなり、熱感、かかと後方の痛みが生じます。
炎症している滑液包が大きくなると、かかとの皮下に赤いしこりが出現、痛みが生じます。
炎症が慢性化したときは、腫れは硬く、大きくなり、赤色は薄れてきます。

症状の確認と触診がなされ、XP検査を行って診断されています。
踵骨骨折の可能性を除外する必要から、XP検査が行われているのです。

治療は、かかとの後方にかかる圧迫をなくす必要から、靴の底にヒールパッドを入れます。

これにより、踵骨の角度を前方向に変え、かかとに対する圧迫を軽減します。
ハイヒールを原因としているときは、当面の使用が禁止されます。
これらの治療で効果が得られないときは、かかとの骨の一部を手術で切除することになります。

アキレス腱滑液包炎における後遺障害のポイント

1)交通事故の衝撃力では、踵骨の骨折、アキレス腱断裂がほとんどで、滑液包炎は稀な症例です。
専門医が診断し、ヒールパッドを装用すれば、2ヶ月前後で治癒し、後遺障害は考えられません。

2)打撲とは、外力により、皮下組織、皮下脂肪や筋肉などの組織の出血や浮腫を伴うことです。
大きな外力では、痛みも強く、数日後には皮下出血となり皮膚の色が変わってきます。
ときには、皮下出血が瘢痕を形成し、皮膚が固くなることがあります。
これを外傷後の硬結と呼ぶのですが、痛みを伴うことはなく、時間の経過で硬結は消失するのです。

治療の方法も、悪化することもなく、広範囲に使える便利な傷病名として硬結は存在しているのです。
したがって、本来であれば、硬結は後遺障害の対象とはなり得ません。

3)しかし、硬結との診断が出ていても、専門医を受診すると、硬結ではなく、慢性滑液包炎と診断されることがあります。