1 骨折の分類
2 脊柱の圧迫骨折
3 脊柱の圧迫骨折 変形障害
4 脊柱の圧迫骨折 運動障害
5 脊柱の破裂骨折
6 肋骨骨折
7 肋骨多発骨折の重症例 外傷性血胸
8 肋骨多発骨折の重症例 フレイルチェスト、Flail Chest、動揺胸郭
9 鎖骨骨折 (さこつこっせつ)
10 肩鎖関節脱臼 (けんさかんせつだっきゅう)
11 胸鎖関節脱臼 (きょうさかんせつだっきゅう)
12 肩甲骨骨折 (けんこうこつこっせつ)
13 骨盤骨折 骨盤の仕組み
14 骨盤骨折・軽症例
15 体幹骨・骨盤骨折・重症例

肩鎖関節脱臼のグレード
Ⅰ 捻挫 肩鎖靱帯の部分損傷、烏口鎖骨靱帯、三角筋・僧帽筋は正常、
XPでは、異常は認められません。
Ⅱ 亜脱臼 肩鎖靱帯が断裂、烏口鎖骨靱帯は部分損傷、三角筋・僧帽筋は正常です。
XPでは、関節の隙間が拡大し鎖骨遠位端が少し上にずれています。
Ⅲ 脱臼 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂、三角筋・僧帽筋は鎖骨の端から外れていることが多く、XPでは、鎖骨遠位端が完全に上にずれています。
Ⅳ 後方脱臼 肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂、三角筋・僧帽筋は鎖骨の端から外れている。
鎖骨遠位端が後ろにずれている脱臼です。
Ⅴ 高度脱臼 Ⅲ型の程度の強いもの、肩鎖靱帯、烏口鎖骨靱帯ともに断裂、三角筋・僧帽筋は鎖骨の外側1/3より完全に外れています。
Ⅵ 下方脱臼 鎖骨遠位端が下にずれる、極めて稀な脱臼です。
肩鎖関節とは、鎖骨と肩甲骨の間に位置する関節のことです。
肩鎖関節脱臼は、肩鎖靭帯・烏口鎖骨靭帯の損傷の程度や鎖骨のずれの程度等に応じて、上記の6つのグレードに分類されています。
大多数はグレードⅢ未満で、グレードⅥは、滅多に発生しないといわれています。
Ⅰ・Ⅱ・Ⅲでは、主として保存療法が、Ⅳ・Ⅴ・Ⅵでは観血術による固定が選択されています。

肩鎖関節脱臼による後遺障害のポイント

1)グレードⅠの捻挫では、後遺障害を残しません。
2)グレードⅡ・Ⅲでは、外見上、鎖骨が突出し、ピアノキーサインが陽性となります。

裸体で変形が確認できれば、体幹骨の変形として12級5号が認定されます。
あくまでも外見上の変形であり、XP撮影により初めて分かる程度のものは非該当となります。
ピアノキーサインが陽性のときは、外見上の変形を写真撮影し、後遺障害診断書に添付しなければなりません。
鎖骨の変形と同じですが、骨折部に運動痛があるかないかが重要なポイントになります。
体幹骨の変形による12級5号では、骨折部の疼痛も周辺症状として含まれてしまいます。
つまり、疼痛の神経症状で12級13号が認定され、併合11級となることはないのです。
変形に伴う痛みは、自覚症状以外に、鎖骨骨折部のCT、3D撮影で立証しています。
変形が認められなくても、肩鎖関節部の痛みで14級9号が認定されることもあります。
3)肩鎖関節部の靱帯損傷や変形により、肩関節の可動域に影響を与えることが予想されます。
よって、鎖骨の変形以外に、肩関節の機能障害が後遺障害の対象となります。
骨折部位の変形をCT、3D、靱帯断裂はMRIで立証しなければなりません。
「患側の関節可動域が健側の関節可動域の2分の1以下」とは、手が肩の位置辺りまでしか上がらないイメージで10級10号が、「患側の関節可動域が健側の関節可動域の4分の3以下」とは、手が肩の位置よりは上がるけれど、上までは上がらないイメージで12級6号が認定されます。
可動域は、鎖骨骨折を参考にしてください。
4)症状と後遺障害等級のまとめ
等級 症状固定時の症状
10級10号 患側の可動域が健側の2分の1以下となったもの、
12級6号 患側の可動域が健側の4分の3以下となったもの、
12級5号 鎖骨に変形を残すもの、
14級9号 脱臼部に痛みを残すもの
併合9級 肩関節の可動域で10級10号+鎖骨の変形で12級5号
併合11級 肩関節の可動域で12級6号+鎖骨の変形で12級5豪
肩関節の機能障害と鎖骨の変形障害は併合の対象ですが、鎖骨の変形と痛みは、周辺症状として扱われ、併合の対象にはなりません。
等級が併合されなくとも、痛みがあれば、それは後遺障害診断書に記載を受けなければなりません。