35 ACL(前十字靱帯)損傷 (ぜんじゅうじじんたいそんしょう)
36 PCL(後十字靱帯)損傷 (こうじゅうじじんたいそんしょう)
37 MCL(内側側副靱帯)損傷 (ないそくそくふくじんたいそんしょう)
38 LCL(外側側副靭帯)損傷 (がいそくそくふくじんたいそんしょう)
39 PLS(膝関節後外側支持機構) (ひざかんせつこうがいそくしじきこう)の損傷
40 複合靭帯損傷 (ふくごうじんたいそんしょう)

膝関節の安定性は、靭帯で制御されています。
膝関節には、4つの主要靭帯
①ACL(前十字靭帯)、
②PCL(後十字靭帯)、
③MCL(内側側副靭帯)、
④LCL(外側側副靭帯)があり、
⑤PLS(膝関節後外側支持機構)と共に、膝の安定性を保持し、正しい運動軌跡を誘導しています。

ACL(前十字靭帯)は、𦙾骨が前方にずれることを制御しています。
PCL(後十字靭帯)は、𦙾骨が後方にずれることを制御しています。
MCL(内側側副靭帯)は、膝関節の外反=X脚となるような方向を制御しています。
LCL(外側側副靭帯)は、膝関節の内反=O脚となるような方向を制御しています。

膝の複合靭帯損傷とは、上記の4つの靭帯中、2つ以上の靭帯が損傷を受けた状態を言います。
単独の靭帯損傷に比して、膝関節の不安定性が大きく、同時に半月板損傷や軟骨損傷、PLS(膝関節後外側支持機構)の損傷を合併する頻度も高く、相当に高度な機能障害をもたらします。

交通事故で、大きな外力が膝に集中したときは、これらの靱帯が同時に損傷することがあります。
その際に生じる機能障害は、個々の靱帯が損傷したときよりも、重大なものとなります。
例えば、PCL(後十字靭帯)は、下腿が後方に落ち込むことを防ぐ働きがあります。
また、LCL(外側側副靭帯)は、下腿が内反=内側に折れ曲がることを防いでいます。
仮に、PCL(後十字靭帯)とLCL(外側側副靭帯)を同時に傷害すると、下腿が後方に落ち込んだり、内反しやすくなったりするだけでなく、下腿が捻れるように後外側にずれる、回旋不安定症状が出現します。

複合靭帯損傷の機能障害は複雑かつ深刻です。
治療・手術も当然に高い技量が要求され、仮に損傷した靱帯を全て再建したとしても、予後は不良で、膝の不安定性を残したり、反対に硬くなり過ぎて膝の可動域制限を残すことも予想されます。

複合靱帯損傷では、どの靭帯を再建するか、損傷の程度や受傷からの時間、また、被害者の方の活動性などを考慮した上で決定しなければなりません。

LCL損傷、PLS損傷、複合靱帯損傷における後遺障害のポイント

1)滅多に発症しない靱帯損傷ですが、難治性で非常に厄介なものです。
急性期の対応の仕方によって、手術後の膝関節機能を大きく左右します。

PLS損傷では、内反動揺性に対して、LCLの再建術、回旋動揺性に対しては膝窩筋腱と膝窩腓骨靭帯の再建術が行われています。
複合靱帯損傷では、ハムストリングや膝蓋腱の移植を伴う高度な再建術が採用されています。