40 ギヨン菅症候群

33 肘部管症候群 (ちゅうぶかんしょうこうぐん)
34 正中神経麻痺 (せいちゅうしんけいまひ)
35 前骨間神経麻痺 (ぜんこつかんしんけいまひ)
36 手根管症候群 (しゅこんかんしょうこうぐん)
37 橈骨神経麻痺 (とうこつしんけいまひ)
38 後骨間神経麻痺 (こうこつかんしんけいまひ)
39 尺骨神経麻痺 (しゃくこつしんけいまひ)
40 ギヨン菅症候群
41 ズディック骨萎縮 (Sudeck骨萎縮)

 

尺骨神経が、ギヨン管というトンネルの中で絞扼・圧迫されているものです。
尺骨神経は、頚椎から上腕の内側を走行し、肘の内側を下降し、手首周辺で、有鈎骨の鈎と豆状骨で構成されるギオン管の中を通過します。
有鈎骨骨折は、「44 手根骨の骨折 有鈎骨骨折」で解説していますが、右手では、薬指と小指の中間、下方にある手根骨の1つで、手のひら側に、突起=鉤が存在する特異な骨です。
交通事故では、バイクのアクセルを握った状態での出合い頭衝突で、右手に多く発症しています。
自転車、バイクから転倒する際に、手をつくことでも発症しています。
手のひら側のCT画像ですが、突起=鉤が骨折しているのが確認できます。
有鈎骨の骨折により、ギヨン管症候群を発症します。
神経伝達速度検査によって病変部位の特定が可能です。
治療は保存的に低周波電気刺激療法やマッサージ、レーザー光線の照射が行われますが、効果が得られないものは神経剥離術、神経移行術がおこなわれます。
これらが不可能なものは腱移植術をおこない、装具の装用で機能を補完することになります。
専門医の執刀でなければなりません。

尺骨神経麻痺における後遺障害のポイント

1)橈骨・尺骨・正中神経麻痺では、圧倒的多数が尺骨神経麻痺です。
肘部管症候群、ギヨン管症候群の傷病名であれば、尺骨神経が肘部管、ギヨン管のトンネルの中で絞扼・圧迫を受けて神経麻痺を発症しているのであり、この要因を排除すれば、改善が得られます。
切断や挫滅による神経麻痺であれば、マイクロサージャリーで尺骨神経をつなぐ手術となります。
大多数は、切断・挫滅ではなく、肘部管やギヨン管の中での絞扼・圧迫による神経麻痺となります。
したがって、診断が早ければ、手術で回復が得られ、神経麻痺の後遺障害を残しません。
2)受傷から6ヶ月近く経過し、切断・挫滅や神経絞扼・圧迫であっても、骨間筋萎縮が認められ鷲手変形をきたしているときは、陳旧性、つまり、古傷となっていますから、この段階から専門医の手術を選択しても、残念ながら元通りの状態になることは期待できません。
手関節の屈曲制限で10級10号、親指以外の2の手指の用廃で10級7号、併合9級が認定され得すが、手術により回復すれば、12級もしくは併合11級が認定され得ます。
3)肘関節部の切創、上腕顆上骨折、上腕骨内上顆骨折、事故による変形性肘関節症、外反肘、手関節切創などの傷病名がなく、外傷性頚部症候群のみでは、事故との因果関係は否定されます。

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