41 坐骨(ざこつ)・脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)神経麻痺とは
42 坐骨神経麻痺 (ざこつしんけいまひ)
43 脛骨神経麻痺 (けいこつしんけいまひ)
44 腓骨神経麻痺 (ひこつしんけいまひ)
45 深腓骨神経麻痺 (しんひこつしんけいまひ)=前足根管症候群
46 浅腓骨神経麻痺 (せんひこつしんけいまひ)
47 仙髄神経麻痺 (せんずいしんけいまひ)

○印は、腓骨神経断裂の好発部位です。

腓骨神経は、下腿を走行する神経ですが、坐骨神経から腓骨神経と脛骨神経に分かれます。
腓骨神経は、膝の外側を通り、腓骨の側面を下降して、足関節を通り、足指に達します。

好発部位は、膝の周辺と、足関節の周辺です。
傷病名が、膝関節の前・後十字靭帯損傷、脛骨顆部のプラトー骨折、足関節の内外果骨折等、下腿骨の遠位端骨折では、要注意です。

腓骨神経の圧迫や絞扼性のものは、その因子を除去すれば、改善が果たせますが、腓骨神経の断裂は非可逆性で、改善は期待できません。

腓骨神経は足関節と足指に支配領域を持っており、腓骨神経断裂では、自力で足首や足趾を曲げることができなくなります。
足関節は、下垂足(drop foot)の状態となり、自力で背屈ができません。
このことを、医学では、内反先足による下垂足と言います。

具体的には、足指と足首が下に垂れた状態ですので、靴下がうまく履けません。
同じことは靴を履くときにも見られます。
その都度座って、片手で足を支えてやらないと、靴下も靴もうまく履くことができないのです。
車の運転も、右足でアクセルやブレーキを踏むことはできません。
スリッパやサンダルは歩いているうちに脱げてしまいます。

走行・正座・和式トイレの使用は当然に不可、下腿をしっかり保持できませんので、常時、杖や片松葉の使用が必要となります。

深刻なのは、下腿部の疼痛と筋拘縮です。
下腿部は常に痺れたような重だるい疼痛が持続し、この痛みと腓骨神経麻痺による血流障害が発生、下腿全体の筋肉が拘縮・萎縮していきます。
放置すれば、下腿は廃用性萎縮となります。
これを防止する意味で、生涯、下腿部のリハビリ治療が欠かせません。
常に整体やマッサージで筋肉を揉みほぐしてやる必要が絶対にあるのです。

治療は、下垂足のままだと、歩くことも困難で日常生活を送るのにも非常に不便ですから、足首を固定する、距踵関節固定術をおこないます。
後遺障害等級は、手術に関係なく、足関節の用廃で8級7号、足趾の用廃で9級15号、併合7級が認定されます。

腓骨神経麻痺における後遺障害のポイント

1)受傷から2ヶ月以内に腓骨神経麻痺の可能性を指摘し、丁寧な神経伝達速度検査で立証していく必要があります。
時間が経過すればするほど、本件事故との因果関係が疑われ、等級認定が困難になります。

2)立証のための必要な検査
□腓骨神経麻痺は、筋電図検査、神経伝達速度検査で、脱神経所見を証明すること。

神経伝達速度検査を測定するポイント

膝下部の腓骨神経麻痺では、2つのポイントで電気を流して、足先にある短趾伸筋を収縮させます。それぞれのポイントから、どれだけのスピードで刺激が伝わってくるか、また刺激が伝わるまでどれぐらいの時間がかかるのかを調べます。
麻痺のレベルは、健側と患側を比較して判別されています。

□前脛骨筋・長母趾伸筋・長趾伸筋・腓骨筋・長母趾屈筋・長趾屈筋の左右の徒手筋力テストを受け、数値をカルテに記載することをお願いすること。

□足関節および足指の背底屈ですが、他動値は正常ですが、自動値ではピクリとも動きません。
損害保険料算出機構自賠責損害調査事務所は、関節の機能障害については、医師が手を添えて計測する他動値を基準にして後遺障害等級を認定します。
本件は、他動値では正常を示すことから、神経麻痺のため自動値で計測を行ったと、後遺障害診断書に記載をしておく必要があります。

ここまで立証された場合は、7級相当となります。
上記の立証がなされない場合は、足指の用廃で9級15号の認定も困難と思われます。