47 仙髄神経麻痺 (せんずいしんけいまひ)
41 坐骨(ざこつ)・脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)神経麻痺とは
42 坐骨神経麻痺 (ざこつしんけいまひ)
43 脛骨神経麻痺 (けいこつしんけいまひ)
44 腓骨神経麻痺 (ひこつしんけいまひ)
45 深腓骨神経麻痺 (しんひこつしんけいまひ)=前足根管症候群
46 浅腓骨神経麻痺 (せんひこつしんけいまひ)
47 仙髄神経麻痺 (せんずいしんけいまひ)
仙骨部を裏側から見たイラストで、オレンジ色が仙骨神経です。
少数例ですが、交通事故で仙骨の骨折に伴い、仙骨神経を損傷することがあります。
脊髄損傷の重症度を考えたとき、仙髄損傷では、呼吸筋や足の麻痺はなく、どちらかと言えば、軽症に分類されるのですが、仙髄の損傷で出現する代表的な症状は、足の痺れや筋力低下などです。
胸髄損傷では、感覚消失が代表的な症状でしたが、仙髄損傷では、感覚は残ります。
しかし、損傷前と同じように歩けるほどの筋力はなく、痺れもあって、動かすことが困難となります。
リハビリを通して、徐々に足の機能を回復させて行くことになります。
仙髄神経根、S2~S4は、排尿調節、排便調節そして性機能に関与しており、この部位の損傷では、膀胱や腸の機能消失により、排尿や排便が、自力ではできなくなり、性機能にも影響を与えます。
脳から伸びた神経は頭蓋骨を出て脊髄となり、背骨の中心にある背柱管を通ります。
頚部で枝分かれした神経、頚髄神経は、後頭部・首、腕、手指へ、
胸の部分から枝分かれした神経、胸髄神経が胴体へ、
腰から枝分かれした神経、腰髄神経は、下腹や臀部、足の前側へ伸び、
背骨の末端、仙骨まできた神経、仙髄神経は、膀胱や陰部、足の裏側に至ります。
各神経の支配領域は決まっており、発症部位から、どの神経が損傷しているかが分かります。
仙骨骨折における後遺障害のポイント
1)骨盤骨折の中でも、仙骨骨折は、仙髄神経損傷を合併する頻度が高いのです。
仙骨神経、S1~S4は、梨状筋の前で仙骨神経叢となり、下肢の運動機能を、S2~S4では、排尿調節、排便調節そして性機能を支配しており、さらに、自律神経系からの介入もあって、これらの機能に重要な役割を果たしています。
2)S1/2の損傷では、足関節を自動運動で背屈することができなくなります。
足背は強烈に痺れ、筋力は低下、下肢に筋萎縮が認められます。
針筋電図検査で仙髄神経麻痺を立証すれば、10級11号が認定されます。
3)S3/4/5の損傷では、排尿・排便・性機能に障害を残します。
排尿障害は、泌尿器科でウロダイナミクス検査を受けて立証します。
排便障害も、泌尿器科における肛門内圧検査で立証します。
性機能障害は、男女別、その内容により立証が異なります。
詳細は、「下肢の障害4 骨盤骨折に伴う出血性ショック 内腸骨動脈損傷」をご参照ください。
いずれも、針筋電図検査で仙髄神経麻痺を立証することが、等級認定の前提となります。