41 坐骨(ざこつ)・脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)神経麻痺とは

41 坐骨(ざこつ)・脛骨(けいこつ)・腓骨(ひこつ)神経麻痺とは
42 坐骨神経麻痺 (ざこつしんけいまひ)
43 脛骨神経麻痺 (けいこつしんけいまひ)
44 腓骨神経麻痺 (ひこつしんけいまひ)
45 深腓骨神経麻痺 (しんひこつしんけいまひ)=前足根管症候群
46 浅腓骨神経麻痺 (せんひこつしんけいまひ)
47 仙髄神経麻痺 (せんずいしんけいまひ)

ここでは、坐骨神経、脛骨神経(=𦙾骨神経)、腓骨神経の総論について説明します。

(1)坐骨神経 (ざこつしんけい)

坐骨神経は、腰仙骨神経叢を構成する末梢神経の内、L4~S3神経から始まります。
坐骨神経の走行は、腰仙骨神経叢を出た後、梨状筋下孔を通過して骨盤外へ出て、大腿後面を下行し、膝の裏=膝窩の上方で、総腓骨神経と脛骨神経に分かれるのです。
もう少し、分かりやすく説明すると、
坐骨神経は背骨から出発、お尻を貫いて太ももの後面を下がり、ふくらはぎを通って足に分布します。
坐骨神経は、末梢神経では、最も太くて、長さが1mの神経です。
大腿後側の中央まで下降して、そこで、総腓骨神経と脛骨神経とに分岐します。

つまり、膝の裏までは、坐骨神経であり、そこから脛骨神経と腓骨神経の2手に分かれ、この2つの神経が足の運動と感覚を支配しています。

坐骨神経は大腿の裏側と下腿の一部、そして足の裏の感覚を支配しており、坐骨神経麻痺では、ふくらはぎの裏側や足の裏の痺れや感覚の鈍麻、うずき、灼熱感、疼痛を発症し、膝や足の脱力感を訴え、歩行困難となります。完全断裂の重症例では、足関節の自動運動不能、下垂足を示し、膝の屈曲が自動でできなくなります。
股関節の挫滅的な後方脱臼骨折に伴って、完全断裂をしたときは、予後不良で深刻な後遺障害を残しますが、稀な神経麻痺です。
多くは、坐骨神経の圧迫や絞扼が原因であり、この因子を除去すれば、改善が果たせます。

(2)脛骨神経 (けいこつしんけい)

脛骨神経(=𦙾骨神経)は、大腿後面の中央より遠位で坐骨神経の内側部分として分岐し、中央を下行、足関節の底屈と足趾の屈曲を行う筋群と、足関節外果より足背外側、足底の知覚を支配しています。

脛骨神経の完全麻痺は、大腿骨顆部や脛骨プラトー部の挫滅的な粉砕骨折に伴って発症することが予想されますが、稀な神経麻痺です。

脛骨神経が完全麻痺すると、腓腹筋、ヒラメ筋の麻痺により足関節の底屈、内反、足趾の屈曲が困難となり、外反鉤足を示します。

※外反鉤足=踵足とは、足のつま先が宙に浮き、踵だけで接地する足の変形です。

中足骨の骨間筋は、神経麻痺のため、足趾に鉤爪変形が生じ、また、足底の感覚障害も起きます。

脛骨神経麻痺の代表は、神経の完全断裂ではなく、絞扼性神経障害の足根管症候群です。
つま先立ちができない、足趾の屈曲が困難、足底の夜間痛、痺れなどの症状が出現しますが、保存療法もしくは手術で改善が得られるものがほとんどのため過剰反応する必要はありません。

3)腓骨神経(ひこつしんけい)

腓骨神経も、坐骨神経から分岐する神経の一つですが、 総腓骨神経は、大腿二頭筋の内側縁に沿って下降し、腓骨頭を回って下腿前側に出て浅腓骨神経と深腓骨神経に分岐します。
浅、深腓骨神経とも下降を続け、最終的には、足背と足趾に分布します。

総腓骨神経麻痺では、足関節の背屈や足関節は自動運動が不能で下垂足となり、また、外反運動が不能になり内反尖足を示し、足背の痛みを訴えます。

腓骨神経の完全断裂では、足趾の自動運動も不能となります。

腓骨神経は、その走行している位置のために、最も外傷を受けやすい神経の1つです。
膝窩部周辺や足関節の外傷で断裂することがあり、大腿骨顆部や脛骨顆部、足関節果部の挫滅的な粉砕骨折では、要注意です。

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