3 頬骨骨折 (きょうこつこっせつ)・ 頬骨体部骨折(きょうこつたいぶこっせつ)
頬の高まり、周辺部の骨折で、交通事故では、歩行者、自転車、バイクの転倒による強い打撲で発症しています。2、3ヶ所が同時に骨折する粉砕骨折が多く、骨折部が転位しずれます。
①頬の平坦化、頬部の凹みによる顔面の変形
②開口障害(口が開けにくい)
③複視(物が重複して見える)
④瞼の腫れが強く、眼球に損傷がないが、眼球表面が内出血
⑤眼窩がくぼみ、眼球が陥没
⑥眼窩下神経を損傷すると、頬・上唇・歯茎・鼻の側面の痺れ
これらの症状が出現します。
XP、CTで確定診断が行われています。
体部骨折では、視力・眼球運動検査など眼科的な検査も必要となります。
手術は症状次第ですが、転位が明らかであれば、受傷後4~10日前後に手術が実施され、全身麻酔下に、下瞼・眉毛部・口内の3ヶ所を切開、ずれた骨を整復し、プレート固定します。
眼窩壁の骨欠損が大きいときは、骨移植が行われています。
頬骨骨折=頬骨体部骨折における後遺障害のポイント
1)粉砕骨折、眼窩壁の骨移植など、重度の骨折であるときは、開口障害、複視、頬部の凹みによる顔面変形の後遺障害を残します。
2)開口の正常値は、男性で55、女性で45mmですが、2分の1以下となり、開口障害を原因として咀嚼に相当の時間を要する場合は12級相当が認定され得ます。
3)複視は、正面視での複視と左右上下の複視の2種類があります。
検査には、ヘスコオルジメーターを使用し、複像表のパターンで立証します。
正面視の複視は、両眼で見ると高度の頭痛や眩暈が生じるので、日常生活や業務に著しい支障をきたすものとして10級2号の認定がなされます。
左右上下の複視は正面視の複視ほどの大きな支障は考えられないのですが、軽度の頭痛や眼精疲労は認められます。この場合は13級2号の認定がなされます。
4)頬部の凹みによる顔面変形は、醜状障害として審査が行われています。