19 心肺停止 (しんぱいていし)

 

心肺停止とは、心臓と呼吸が止まった状態で、医療現場では、CPAと呼ばれています。

心臓の動きが先に停止する、あるいは肺呼吸が先に停止する、この2通りですが、いずれであっても、放置すれば、間違いなく2つは合併し、心肺停止状態となります。
しかし、蘇生の可能性が残されているために、死亡ではありません。

脳に血液が供給されず、手遅れとなれば、命はとりとめても、脳死状態になる危険があります。
心肺停止の患者に対しては、人工呼吸や心臓マッサージなど迅速な救命措置が必要となります。
心肺蘇生法はCPRと呼ばれています。

※メディアの心肺停止
最近のメディアでは、自然災害や交通事故などで、心肺停止、心肺停止状態と表現することが増えています。日本では、医師が心・呼吸・脈拍の停止と瞳孔散大を確認して死亡宣告することで、法的に死亡が確定しています。
医師以外でも、心・呼吸停止を確認することは可能ですが、死亡宣告をすることはできません。
事故・災害現場で、まだ救出されておらず、医師も近づけない状態の遺体や、病院に搬送途中の遺体は、医師による死亡が未宣告であることから、心肺停止と表現されているのです。

心肺停止における後遺障害のポイント

1)一般に、心肺停止であっても5分以内に蘇生ができれば、脳内には、まだ酸素が残っており、なんの障害も残さないとの報告もあります。

ところが、交通事故による肺や心臓の外傷で心肺停止に陥ったときは、その後に蘇生したとしても、急性心筋梗塞を除いて、心停止前より、重篤な不整脈が出現しやすくなることがあります。

2)不整脈に対応する必要から、ペースメーカーの植え込み術が実施されたときは9級10号に認定され得ます。

人は、心室性頻脈性不整脈や徐脈性不整脈等が出現することで、心肺停止をきたします。
臨床経験上も、心肺停止では、蘇生後、重篤な不整脈が出現する割合が相当に高く、心停止後の蘇生では、重篤な不整脈が、心停止以前より一層出現しやすくなると報告されています。

3)不整脈に対応する必要から、除細動器の植え込み術が実施されたときは7級5号に認定され得ます。
心停止後の蘇生で、除細動器植え込み術が実施された後、1年間の除細動器の作動率が30~40%の高率であったとの報告もなされています。

4)心肺停止が5分以上では、蘇生を実現できても、虚血性により、脳に不可逆性の変化を起こし、高次脳機能障害を残すことが予想されます。
このケースでは、脳の障害に関する認定基準により、後遺障害等級が認定されることになります。

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