6 上顎骨骨折 (じょうがくこつこっせつ)
上顎骨は頬骨、鼻骨、口蓋骨と結合し中顔面を構成していますが、上顎骨は、薄くて脆く、交通事故では、バイク、自転車で走行中、自動車と出合い頭衝突などで転倒した際の外力で、上顎の骨折は発生しています。
上顎骨のほぼ下半分が骨折したものをルフォーI型骨折、 上顎骨が鼻骨複合体を含めて骨折したものをルフォーII型骨折と呼びます。
さらに、頬骨も含め顔面中央部が全体として頭蓋骨と離断される骨折をルフォーIII型骨折と呼びます。また、上顎骨が正中部で離断されたものは矢状骨折といいます。
上顎骨上方は解剖学的に頭蓋底となるため、ルフォーⅡ、Ⅲ型骨折では状態も重症であり、頭蓋底骨折による髄液漏をきたすこともあります。
①咬合不全、咬み合わせのずれ
②顔面の変形、平坦化
などが主たる症状ですが、骨折が頬骨に達すると、
③開口障害、口が開けにくい
④複視、物が重複して見える
⑤眼球陥没
⑥頬・上唇・歯茎のしびれ
などの症状が追加的に出現します。
顔面のXP、CT、3DCTにより確定診断がなされます。
治療の目標は歯の咬み合わせを正常にすることで、手術による骨折の整復と固定が基本となります。術後は、上顎と下顎をゴムやワイヤーで固定する顎間固定を行います。
骨折による転位が少ないときには、顎間固定のみで治療されることもあります。
手術だけで、咬み合わせが戻らないときは、歯科矯正で補正します。