1 頭部外傷 頭部の構造と仕組み

 

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(1)頭蓋骨

頭蓋骨は、脳を保護する脳頭蓋と、顔面を形成する顔面頭蓋から構成されています。
脳頭蓋は、さらに頭蓋冠と頭蓋底に分かれます。
頭部は、脳が頭蓋骨という固い容器に収納されている構造となっています。
頭蓋骨の外側を頭蓋外と言い、頭部軟部組織が覆っています。
頭蓋骨の内側を頭蓋内と言い、脳が髄膜に包まれた状態で存在します。
脳に対して影響を及ぼす頭蓋内の損傷の有無が、頭部外傷では問題となります。

(2)髄膜

頭蓋骨の下には、脳を包んでいる髄膜という膜があります。
髄膜は外側から順に、硬膜、クモ膜、軟膜の3層構造となっています。
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①硬膜

硬膜は、頭蓋骨の内面に張りついているラバー状の丈夫な膜です。
硬膜は、大脳鎌と呼ばれる左右の大脳の間に入り込んでいます。
また、大脳と小脳の間には小脳テントを形成しています。

②クモ膜

クモ膜は、硬膜と軟膜の間にある、薄くて弱い透明な膜です。
軟膜との間には、クモ膜下腔という繊維性のネットがあり、脳脊髄液で満たされています。
このスペースに出血が起こるとクモ膜下出血になります。

③軟膜

軟膜は、脳実質に張りついている透明な膜です。
脳の表面そのものですから、はがすことはできません。
クモ膜よりも内側を、無色透明の脳脊髄液が満たしています。

④脳脊髄液

脳と脊髄は脳脊髄液という液体の中に浮かんでおり、クモ膜の内側を無色透明の脳脊髄液が満たしています。脳脊髄液は、外からの衝撃を吸収したり、脳と脊髄の新陳代謝を調節するなどの役割を果たしています。

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(3)脳

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脳は、大脳、中脳、小脳、脳幹の4つの部分で構成されています。
中脳は、間脳とも呼ばれています。
大脳は、前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられ、それぞれ異なる機能を有しています。
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部位 役割
前頭葉 行動の開始、問題解決、判断、行動の抑制、計画、自己の客観化、情緒、注意・組織化、言語表出
側頭葉 記憶、聴覚、嗅覚、言語理解
頭頂葉 触覚、空間認知、視覚認知
後頭葉 視覚
脳幹 呼吸、心拍、意識・覚醒、睡眠
小脳 バランス、運動調節、姿勢
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